ベンソンの2015シーズン中間レポート:メルセデスからマクラーレン、マノーまで
えらい久しぶりの更新です。いつの間にか今シーズンもう半分がすぎて夏休み。訳せる記事も限られてございます。なのでまあ賑やかしといった趣でBBCのアンドリュー・ベンソンさんのシーズン中間レポートを訳してみました。まあすでに話題にはなったようなので、新鮮味もないかもしれませんが、一応これが全文ですね。彼の査定について、いつものベンソン節も炸裂してる感が若干ありで、どう判断するかは読者次第といった感じなのですがw
元記事はこちら。あやしいところは★つき。なお次回は本記事のおまけなのでぜよければご覧ください
2015シーズン中間レポート:メルセデスからマクラーレン、マノーまで
F1はシルバーストンとハンガリーでのスリリングな2レースを終え、夏休みに入る。
ルイス・ハミルトンとメルセデスはドライバー、コンストラクター両選手権をやすやすとリードしているが、しかし、ともに弱点を露呈し、シーズン後半も見込みが大いにあることを示した。
今シーズンは、息をもつかせぬ14週間の9レースで勝負が決まる。8月23日のベルギーで再スタートだ。
しかし、各チームはいかにこれまでの10レースを戦い、そしてどのような改善が必要とされるのだろうか。
われわれはシーズン中間レポートをまとめ、各チームのクルマ、エンジン、ドライバーに対して10点を満点として点数をつけた。
チームの順番は、チャンピオンシップの順位に沿っているが、しかし、もし我々がチームに与えるスコアが、単に公式の順位を反映したものであるならば、こんなことをしても意味がないことだろう。実際にそのようになってもいない。
メルセデス
今シーズンメルセデスが両世界タイトルを失う恐れは現実的には皆無だ。しかし、今シーズン残りのレースのためにやるべきことはある。
クルマとエンジンは完璧といってもいいほどだが、チームは時にオペレーション上の弱さが現れてしまうことがあった。
すなわち、たとえばハミルトンのモナコにおける遅すぎたピットインや、ハンガリーでのニコ・ロズベルグへの奇妙なタイヤ選択などの戦略上の誤り、唐突に生じる不安定なスタートなどであり、後者は、スタートのオートメーションのレベルを制限するルール変更がまもなく施行される件に関して懸念材料となる。
ハミルトンは、ハンガリーを除き、すばらしいドライビングを披露している。ただ誰もが考えるであろうが、ハンガリーのそれは例外的なものだ。彼のチャンピオンシップ上の21ポイントのリードは、確かに実際の差ではあるが、その差は彼がロズベルグに対し優位に立っている度合いを示すものとは全くかけ離れている。ロズベルグは、彼を困らせようとするなら、より精進する必要があるのだ。
車体 10
エンジン 10
チーム 8
ハミルトン 9
ロズバーグ 7
合計 44
フェラーリ
フェラーリの今シーズン前半戦は、二つの、つまり、分かたれた物語だった、
フライアウェイ序盤においては*1、彼らはメルセデスちょっとした悩みの種だった。しかし、その後、フェラーリが見つけた燃料の流量に関するレギュレーションの抜け穴をFIAにふさがれ、銀のクルマから0.5秒はゆうにに遅れるようになってしまった。セバスチャン・ベッテルのハンガリーでの勝利は、そんな逆境を跳ね除けてのものである。
2014年からの大きな進歩を果たしたエンジンを見れば、先頭に追いつくには、シャシーにどれほどの作業がさらに必要とされるかわかるというものだ。
ベッテルはフェルナンド・アロンソの離脱によって空席になっていたチームリーダーの座に問題なく滑り込んだ。キミ・ライコネンの将来に関しては、もっともの話なのであるが、いまだ不確実のままである。前半戦には決して説得力があったわけではなかったからだ。
ウィリアムズ・メルセデス
相応の文脈において考えるならば、これはウィリアムズの目覚しいシーズンのひとつだろう。ビッグチームの半分の予算であるのに、ウィリアムズはしばしばフェラーリに肉薄し、彼らにトラブルを起こさせた。シルバーストンでは、後半に雨が降るまでは、完全にフェラーリを打ちのめしていた。
しかし、クルマはある状況、そしてあるトラックでしか十分に機能しない。スパやモンツァでは強力だろうし、ツイスティーなシンガポールでは、ちょうどモナコやハンガリーで苦戦したように、それほど強くはないだろう。低速でのグリップとダウンフォースが課題なのだ。
また多くの人は、このチームがイギリスGPで作戦を分けなかったことで、チャンスをみすみす逃したと考えている。
バルテリ・ボッタスはかろうじてフェリペ・マッサをポイントでリードしているが、そのキャリアの勢いを削がないようにするには、自身はこのブラジル人を上回っているとより説得力のある形で示す必要がある。
車体 7
エンジン 10
チーム 7
ボッタス 7
マッサ 7
合計 38
レッドブル
レッドブルは弱々しいシーズンスタートを切った。シャシーも4度のチャンピオンに期待される水準からは遠かった。
この主だった理由は、クルマのフロントにおける今シーズンのルール変更だ。それにより、かつてほどフロントをトラックに対して低くして走行することが出来なくなり、それがダウンフォースを減らしてしまった。
先の2レースにおける大きな進歩は、対策法が見つかったことを示唆する。しかし、彼らは依然としてルノーエンジンに足を引っ張られている。ルノーは、メルセデスに対し、50馬力程度劣ると見られている。
2014年に輝かしい1年すごしたダニエル・リカルドは、安定しない時期をすごしてきたが、いまだに第一級の存在だ。ダニール・クビアトは、スロースタートだったが、リカルドをギリギリまでプッシュし、クリスチャン・ホーナーが口にした「本物」との宣伝文句を証明し始めている。
車体 9
エンジン 6
チーム 9
リカルド 8
クビアト 7
合計 39
フォースインディア・メルセデス
厳しいものだったシーズンスタートを考えれば、フォースインディアは印象的な成績だ。彼らのクルマは、開幕前にたった数日しかテストができなかったのだ。
重大なアップグレードを施したクルマがシルバーストンに持ち込まれる前でさえ、彼らはとても堅実なリザルトを残していた。よく滑る性質と低速での十分なグリップを、それが可能なときには、最大限に生かしていた。
しかし、懸命になってもぎ取った5位を維持することはたやすいことではないだろう。また、ハンガリーで別々のクルマにおきた、リアサスペンションと、フロントウィングのトラブルも憂慮すべきである。
ニコ・ヒュルケンベルグは、ルマンでの勝利で、再び活力を与えられたようであり、セルジオ・ペレスも、その時が来ると際立つものがある。
車体 5
エンジン 10
チーム 7
ヒュルケンベルグ 7
ペレス 6
合計 35
トロロッソ・ルノー
信頼性に乏しいことと、チームが比較的経験不足であること。トロロッソのシーズンが目を見張るものとなるのを妨げたのは、この二点だけだ。それらの但し書きがあってなお、彼らのシーズンはものすごく良いものではあった。
レッドブルのシルバーストンでのアップデートまでは、多くのライバルは、マックス・フェルスタッペンとカルロス・サインツにドライブされるトロロッソの方が、実際にはシニアチームよりも優れた車だと感じていた。予算は半分なのにだ。
しかし、予選で前に出ても、レースでは後退してしまうこともそれなりにあり、ルノーの信頼性の無さもまたトロロッソのポイント獲得を阻んだ。
両ルーキードライバーはともに独力で頭角を現してきたが、早熟の17歳、フェルスタッペンが、これまでのところ、今シーズンのスターの一人となっている。
車体 9
エンジン 6
チーム 6
フェルスタッペン 8
サインツ 7
合計 36
ロータス・メルセデス
待機状態にあるチームである。すなわち、オーナーのジニ・キャピタルが、ルノーがチーム買収を行うのかを見極めるために静観している間、投資が控えられているのだ。これが、リザルトへの痛手となっている。
フォースインディアのドライバーでさえ、チャンピオンシップではロータスが自身を上回るはずだと認めている。彼らがそうなってないのは、信頼性のなさと、いくらかのひどいドライビングのせいだ。
今シーズンはアップダウンがあったが、ロータスは確実にポイントを取るのに十分な競争力があった。全てのレースでトップ10の後半に入れただろう。
それはロメイン・グロージャンがたいていはやっていることでもある。一方、チームメイトのパストール・マルドナードはアクシデントを頻繁に起こし、まるで雇い主を激怒させるための新しい方法を探求し、可能な限りステュワードからペナルティポイントを収集しようと、限界までトライしているのかのようだ。*2
車体 6
エンジン 10
チーム 8
グロージャン 7
マルドナド 3
合計 34
ザウバー・フェラーリ
ザウバーは強力なシーズンスタートを切った。主にフェラーリのエンジンにおける大きな進歩によるものである。しかし、他チームのクルマの開発が進むにつれて後退していった。
クルマはタウンフォースを欠き、シーズン後半にアップグレードが計画されるも、チームはリソースを欠いている。
ドライバーのフェリペ・ナスルとマーカス・エリクソンはともに手堅く仕事をこなした。ブラジル人がチームメイトバトルで優位に立っている。
車体 4
エンジン 9
チーム 6
ナスル 6
エリクソン 5
合計 30
マクラーレン・ホンダ
リザルトを見るだけではわからないだろうが、これはマクラーレンの2012以降ではベストのシャシーだ。
メルセデスほどではない。しかし、それ以外でのベストなクルマ、レッドブル、トロロッソ、フェラーリのあたりの上のほうにいる。★*3。しかし、あまりにもギアボックスの問題が多すぎた。
ホンダエンジンに関しては、150馬力くらいはパワーで劣っており、また、たいていのストレートでは、そのストレートエンドを前にハイブリッドのブーストを使い切ってしまう。クルマが2.5秒落ちなのも不思議はない。
ホンダは確かにエンジン開発作業を比較的最近開始したのかもしれない、しかし、いまや彼らは競争力だけが意味を成すF1の世界にいるのだ。ホンダは来シーズンに向けてより多くのパフォーマンスを約束してはいて、またそれはひどく求められているものでもある。
豪華な二人のドライバーラインナップの差は接近している。しかし、フェルナンド・アロンソがジェソン・バトンとのチーム内バトルに僅差で勝っている。しかし、間違いなくグリッド上で最高のドライバーラインナップは無駄になっている。
車体 9
エンジン 2
チーム 7
アロンソ 9
バトン 8
合計 35
マノー・フェラーリ
マノーは見たままである。ほとんど資金力が無く、1年落ちのクルマとエンジンで生きのびようと苦闘している。
彼らは冬の消滅の危機をなんとか乗り越え、2015年は来年のための地盤固めに全力を尽くすと明言した。手持ちのなけなしのお金をこのクルマの改善に使うことは、優先順位が低いのだ。
ドライバーのウィル・スティーブンスと、ロベルト・メリーはともにしっかりしている。スティーブンスの支援者が、破産しないようチームを手助けしているのだが、このスティーブンスが今のところ若干メリーを上回っている。しかし、優劣の最終的な判断には、もっと時間が必要だろう。
車体 2
エンジン 4
チーム 6
スティーブンス 5
メリー 5
合計 22
アンドリュー・ベンソンさん
☆個人的単語リスト
promise 見込みがある、望みがある
mark 学校の授業の得点、評点
vacate (仕事から)身を引く、(建物などから〕退去する
léss than… 決して…でない.
stellar 星のような、〔経歴などが〕輝かしい
wobbly 〔不安定であるために〕グラグラする、ヨロヨロする、フラフラする
class act 一流品
real deal 《the ~》〔人の才能や製品などが優れているという意味で〕本物、半端でない
assert 断言する、言い張
haul 〔重い物を〕引く[引っ張る]こと、〔重い物を〕運ぶこと、運搬{うんぱん}
make one's mark 名を成す[上げる]、頭角を現す、成功する
holding pattern 《航空》〔着陸許可が下りるまでの〕待機経路、待機状態
detriment 損害、損失、不利益
edge 〈相手に〉辛勝する,僅差で破る
*1:In the early long-haul racesで、long-haulで長距離の旅行みたいな意味なのですが、"long-haul events(Australia, Malaysia, China, Bahrain, Canada, Singapore, Japan, United States, Mexico, Brazil and Abu Dhabi)"と書かれている記事を見つけたので、こんな感じで訳しちゃいました。というかフライアウェイの方使い方合ってますかねw?
*2:w
*3:but it is up there in the region of Red Bull/Toro Rosso/Ferrari among the best of the rest.