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Autosport:F1引退決断を示唆するジェンソン・バトン 鈴鹿で発表か

テレグラフの記事で最後とか言いながら、英オースポという大物も記事を出してきたので、つい訳してしまいました。

原文はこちらでございます。なお、どのソースがなんと言おうが、私はガチでジェンソン残留を信じておりますよ。去年12月の奇跡を、もう一度見たいんじゃ。。

F1引退決断を示唆するジェンソン・バトン 鈴鹿で発表か

ジェンソン・バトンが2015年以降もF1を続行するかに関して決断を下したと主張している。そして、マクラーレン・ホンダの現在の状況でのレースはあまり「楽しい」ものではないと認めた。

バトンは、ドライブをしていてハッピーでなくなったらドライブを辞めることを決断するだろう、とこれまでずっと述べてきた。そして、彼が第二のホームレースと考えている、今週末の日本GPで声明を出したいとほのめかしている。

「先頭で戦っているときは、車の中にいる喜びはそこでしか味わえないもので、何か最高のものを成し遂げているかのように感じるものだ。」とバトンは英国の記者たちに語った。

「もし最後尾に近いところで戦っているなら、F1の車を運転してはいるけど、でもその喜びは別のなにかを運転することでもたやすく得られるものなんだ。」

「先頭で戦うことが問題なんだ。ポディウムの一番上に立つ可能性が問題なんだよ。それがF1の喜びさ。」

マクラーレンはバトンを2016に残すオプションを持っており、彼が続行するかの最終決定権はマクラーレンにある。しかし、この35歳がF1から引退する意志を固めているのなら、残留を強いることはないだろう。

バトンは、気持ちは固まったと示唆している。

「僕はその決断を下したよ。それは大きなことだった。」彼は言った。

「自分のホームグランプリで声明を出すのはいつも良いものだよね。でも、まだなにがあるかは分からないよ。」

「日本ではたくさんのミーティングがある。ロン・デニスもエリック・ブーリエもそこにはいるだろう。」

「きっと本部でもミーティングはたくさんあるだろうね。」

このイギリス人の278のグランプリ出走記録は、ミハエル・シューマッハルーベンス・バリチェロがそれを上回るのみである。彼は、その間、2000年ウィリアムズでF3からそのままデビューした20歳のルーキーから始まり、前年のホンダの撤退の残骸から立ち上がったブラウンで、09年にワールドチャンピオンになるまでに至った。

彼はその後マクラーレンに移籍し、2011年のチャンピオンシップでは、チャンピオンのセバスチャン・ベッテルに大差をつけられたのものの、年間二位につけた。

2012年最終戦での15勝目を最後に、バトンは身体的にはポディウムに上がっていない。彼の昨年のオーストラリアでの3位は、ダニエル・リカルドの失格後に、さかのぼって与えられたものだった。

現在のホンダエンジンとのタッグは特に惨めなもので、バトンは5回のリタイアを喫し、バーレーンではスタートさえできず、また、たった二回しかポイントフィニッシュできていない。

バトンは言った。「誰にとってもたやすい状況じゃないし、最善の方法は団結して頑張ることなんだ。人員と資金が確実に正しい場所に配分されるようにしなきゃいけないんだ。*1

「ホンダが全力で働いているのは分かってるよ。彼らはまったく休んでいない。」

「でも、マクラーレン・ホンダとして、僕らは全てが確実に正しい方向に向かうようにする必要がある。」

万一バトンが離脱するならば、空席をめぐる争いは、リザーブのケビン・マグヌッセンと、テスト兼開発ドライバーで、今年のGP2を独走しているストッフェル・ヴァンドーンの直接対決となる。

オートスポーツの見解

ベン・アンダーソン グランプリエディター

ジェンソン・バトンの将来についての疑問に対しては、昨年そうだったよりもスピーディな結論に向かっているかのように思われる。

2009年のワールドチャンピオンはマクラーレンの契約下にあるので、その将来は、完全に彼自身が決められるものではない。しかし、もしチームが彼を16年も保持するためのオプションを行使しないことを選んだ場合、あるいは、バトンがうまく交渉して契約の縛りから逃れられた場合は、彼は望むとおりに振舞える。

バトンがモチベーションを失っているのならば、マクラーレンがバトンをキープすることは確実にないだろう。

絶好調のときのバトンは、今なおいかなるF1チームにおいても優れた財産となる。しかし、バトンが翌年くたびれた引退シーズンを送るのならば、どちらのサイドにとってもあまり良いことではないだろう。

マクラーレン・ホンダはいまだにやるべき仕事を大量に抱えている。彼らは、全てをささげてグリッドでチームをプッシュし、契約が続くエースのフェルナンド・アロンソと互角に争うドライバーを必要としているのだ。

そうすると全体のプロジェクトはずっと早く進行するポテンシャルがあるだろう。★*2

バトンは、かねてより来年もF1にとどまりたいとマクラーレンに伝えてきた。しかし、彼はかつてほどはレースを楽しんでいないようだ。

楽しんでいないドライバーは最高のパフォーマンスを発揮しにくいものだし、最高のパフォーマンスを発揮しないドライバーは、マクラーレンにとっても決してよいものではない。その点に関しては、それは他のどんなチームにおいても同じことだ。


☆個人的単語リスト
concede
敗北を認める,譲歩する、折れる
at the wheel
ハンドルを握って、〔船・車などを〕運転して
call it a day
〔その日の仕事などを〕終わりにする、切りあげる
intimate
【1形】
〔興味などが一致して人との関係が〕親しい、親密{しんみつ}な
【2他動】
~を暗に知らせる、暗示する、ほのめかす
retrospectively
さかのぼって、遡及的に
wretched
不幸な、惨めな、悲惨な
make sure
〔~を・~ということを〕確かめる、確認する、確実に~する
embark
〔旅の始めに船や飛行機に〕乗り込む、〔冒険や事業などに〕着手する、乗り出す
bleary
〔目が〕かすんだ
give someone a run for his money
(人)に挑戦する、(人)と張り合う、

*1:※追記:オースポのフォーラムをたらたら読んでたら、まだミーティングがあることを明らかにしてるいうこと、そしてこの一文でわざわざ人員とお金について言及していることに着目して、バトンの交渉上の問題は金銭面なのではないか、と指摘してる人がいてちょっと面白いなと思いました。まだ交渉が継続中でないのなら、どうしてこれからミーティングがあるなどと言うのだろうか、そして、自身の契約に関してお金の問題がないのなら、どうしてチームとしてのお金の最適な配分についてなど語るのだろうか、ということです。 その見解は、具体的には、私個人の補足もまま含みますが、おそらく大筋では以下のようなものです。つまり、マクラーレン側はバトンを来年も保持したがっているというような報道があったように、マクラーレンは、確かにオプションを行使するという姿勢は少なくとも見せている。しかし、その提案は、噂されていた賃金アップ分(というか今年度受け入れた賃金カット分の回復)は凍結されており、それどころかさらなる賃下げすら提示されたのではないか。もちろん、バトンは、お金がもっと欲しいとかごねてるとかじゃなくて、評価の問題としてこれが不服だったと。あるいは、バトンは競争力の大きな改善が見込める17年も乗れることを希望していたが、そうような提案もなかった。つまり、純粋な来年単年のオプションに関してしか話がなかったと。で、そのもろもろに関して今週末にかけて詰めていく段階に今ある、というような状況でないか、というものです。うーむ…。

*2:That way the whole project will have the potential to travel along much faster.

Telegraph:F1を辞める意向のジェンソン・バトン

最後はテレグラフによるバトン引退報道。っていうか、なんですかこれ、完全に追悼文みたいになってるやん…。昨日訳したSKYの記事は、ジェンソンのほっこりする受け答えとかあってなんか和んでしまったけど、これはキツイ。。しかもバトンびいきな感じの書き方になってるところがまたダメージでかい。。

いや、まあ言いたいのは、テレグラフのこの記事は、なんというかちょっとエモーショナルな感じで、読んでるといろいろくるものがありますなあ、ということです。

F1を辞める意向のジェンソン・バトン

ジェンソン・バトンは、その16年の輝かしいF1でのキャリアに終わりを告げようとしている。公式な告知は、おそらく、今週末の日本GPの前だろう。

バトンはマクラーレンと来年のについて交渉してきた。しかし、テレグラフスポーツは、彼は競争力のない車での1年を過ごして、このチームから身を引くことに決めたと理解している。

この35歳は、ルマンスタイルのWECでのスポーツカーのドライブと、メディアでのキャリアを兼務すると予想されており、そのメディアの仕事には、新生トップギアも含まれるとの噂である。

バトンを失ったF1は、まったく栄えのないスポーツになってしまうだろう。彼は、ワールドチャンピオンシップを一度制し、15の勝利と50回のポディウムを記録した。278戦のグランプリスタートは、史上3番目の出走記録である。

この男のキャリアは、サマセットのフロームでのカートに始まった。亡くなった父親とは常に二人三脚の歩みだった。その男が今週末声明を出すかもしれない。彼の妻、ジェシカは日本人であり、バトンはこの国でも熱心なファンを持つ。この国を第二のホームレースともしているので、翌月のロシアのみすぼらしいパドックよりはそこでニュースを明らかにすることを選んだのだろう。そもそも、10月には、マクラーレンのバトンへのオプションの期限も切れてしまうようでもある。

2009年のワールドチャンピオンは、マクラーレンのウォーキングの拠点で、メカニックやスタッフたちと働くのを楽しんでいるが、チーム代表のロン・デニスとの関係は、うまくいかなかった。デニスは、昨年のイギリスGP前夜には公然と「もっと努力しろ」と言い、その12月にはこの英国人をチームから外そうとした。ただ、その試みはマクラーレンの取締役会によって却下されて潰えたのだが。

バトンの離脱は、このチームがいかに落ちぶれたのかも物語るものでもある。彼が2000年にウィリアムズでこのスポーツに加わったとき、マクラーレンは、ミカ・ハッキネンのドライバーズチャンピオンのタイトルを保持していたチームだった。それがいまや不振で沈んでいる。

昨年末、彼は、新契約がオファーされる最後の瞬間まで待たされ、さらにエンジンサプライヤーとしてのホンダとともに世界タイトルに再度挑戦するとも語った。

しかし、今シーズンは、災厄以外のなにものでもなかった。ホンダは信頼性がなく、またパワーでも劣っており、バトンはモナコハンガリーのたった二回しかポイントを取れなかった。彼の元チームイメイトのルイス・ハミルトンは、2012年末にマクラーレンを去り、以来19勝をあげている。他方で、バトンとマクラーレンは、その間一度たりとも勝利していない。バトンの6ポイントに対し、ハミルトンは、今シーズン252ポイントだ。

バトンは、気づかぬうちに、だんだんと世界中を旅することに疲れてしまったのだ。最近では、マクラーレンホンダがいつ競争力を発揮するかは分からない、と述べたようである。

さらに、日曜のシンガポールGPは、バトンにとって再び苦しいレースとなった。彼は、40秒間のピットストップを耐え忍び、のちにギアボックスの故障でリタイアした。

フェルナンド・アロンソの僚友となるバトンのシートは、マクラーレンの二人の若手、ケビン・マグヌッセンかストッフェル・ヴァンドーンのどちらかのものとなるだろう。マグヌッセンは、昨シーズンマクラーレンをドライブし、今年は、リザーブドライバーとして過ごし失意を募らせている。

22歳のデンマーク人は、アメリカの新チームのハースと交渉していたが、フランス人ドライバーのロメイン・グロージャンに敗北したと考えられている。ヴァンドーンは、ベルギー出身の23歳だが、F1の中心的な育成シリーズであるGP2を支配している。

バトンのキャリアは、2000年のウィリアムズで始まった。それは、バルセロナでのトライアウトテストに勝利して獲得したシートだ。彼は、有名チームでデビューシーズンをうまく戦い、ベネトンに移籍して2シーズンを過ごした。

彼の躍進の年は、2004年だった。ドライバーズチャンピオンシップでフェラーリの二人に続く3位となったのだ。しかし、記念すべき初勝利にはさらに2年間待たなければならなかった。初勝利をあげたのは、113戦目、ハンガリーだった。14位からスタートし、ウエット局面のフィールド上を駆け上がってのものだった。

バトンのキャリアは、ホンダが2008年末にF1から撤退した際に瀬戸際に立たされた。しかし、ロス・ブラウンがチームを買い取り、思いもよらないことに、チャンピオンシップまでもついて来た。

ディフェンディングチャンピオンとして、バトンは、ハミルトンを相手にマクラーレンで自分を試すことを望んだ。実際彼は、このチームメイトを2010年から2012年までの3シーズン合計のスコアで上回っている。しかし、以降の3年間は、マクラーレンはペースがなく、苦しいものだった。

これほどの傑出したキャリアが、先頭でレースすることなく終わってしまうのは、非常に恥ずべきことである。バトンは、そこにこそいるべきドライバーなのだから。




ジェンソン・バトンのF1キャリア*1

・2000年――ルーキーとしてウィリアムズに加入
ブルーノ・ジュンケイラとのバルセロナでのトライアウトテストに勝ち、2000年のウィリアムズのシートを手にした。オーストラリアでのデビュー戦でポイント獲得は間違いなかったが、残り11ラップというところでエンジンブローを喫した。


・2001年――ベネトンへ移籍
ベネトンに移籍して2001年、2002年を過ごす。この2年は、彼のキャリア最低のシーズンだった。チーム代表であるフラビオ・ブリアトーレは、彼は「怠け者の遊び人」と呼んだ。バトンは、後に、名誉と富で頭がいっぱいだったと認めている。


・2003年――BARへ移籍
バトンは、ルノーでのシートを失い、2003年にBARに移籍した。彼はワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーブを上回り、翌年にはマレーシアで初めてポディウムに乗った。


・2004年――タイトルレースに名乗りを上げる
ポールポジションは2004年のイモラだった。彼は、このシーズンをチャンピオンシップ3位で終える。圧倒的だったフェラーリを除けば最高位だった。


・2006年――初勝利
この英国人は、2006年ハンガリーでの初勝利まで113戦を待たなければならなかった。14番グリッドからの、印象的なウエットのドライビングだった。


・2008年――ホンダの苦境
競争力のない2年間ののち、ホンダはレースをしていく上での金銭的体力の問題に苦しみ★*2、2008年末にF1から撤退した。バトンのキャリアは窮地に立たされることとなる。


・2009年――ブラウンで世界チャンピオン
ロス・ブラウンがチームを買い、エンジンはメルセデスを積むこととした。ブラウンとバトンは2009年序盤を席巻した。シーズン最初の7戦で6勝をあげて、ワールドチャンピオンシップでの記念すべき勝利を決めた。


・2010年――マクラーレンに移籍
バトンは2010年にマクラーレンに移籍して、オールブリティッシュのペアをハミルトンと組むことにしたことで、再びF1を驚かせた。彼はマクラーレンでの2戦目のオーストラリアで勝利した。変わりやすいコンディションをものにする、バトン特有のドライブだった。


2011年――ハミルトンを圧倒する
2010年のほとんどは、彼はタイトルの有力な候補にはなれなかった。しかし、2011年では、ハミルトンが苦しむ一方で、真価を発揮した。日本での勝利は、彼のベストのもので、チャンピオンシップ2位への推進力となった。


2012年――紆余曲折のシーズン*3
2012年は、オーストラリアの勝利に始まり、ブラジルの勝利に終わったが、雑多なシーズンだった。彼のマクラーレンでのただ一つのポールはベルギーだった。3シーズン合計でハミルトンを上回ったのは、彼の大きな名誉となった。


2014年――首切りを免れる
冴えない2013年シーズンをすごした後も、彼の運は上向くことはなかった。チームメイトのケビン・マグヌッセンをやすやすと上回った事実があったにもかかわらず、2014年末のあの執行猶予は衝撃だった。


2015年――タイムアップ
2015年のホンダ復帰は紛れもない災厄だった。チームは遅く信頼性もない。バトンがシーズン末で辞める決断をする一つの契機となった。


☆個人的単語リスト

poised to
《be ~》~する用意[態勢]ができている、~する態勢にある、~する構えだ
glitter
〔物が光を反射して〕ピカピカ[キラキラ]光る[輝く]
bow out
〔おじぎをして部屋から〕出て行く、退出する;身を引く、辞任{じにん}する
revamp
〈話〉改革する、改良する、
following
〈集合的に〉、追随者、支持者、ファン
record
録音{ろくおん}する、録画{ろくが}する
overhaul
〔修理・改良などのために〕~を徹底的に点検する整備する
sour
〔物が〕酸っぱくなる、〔関係などが〕まずくなる
overrule
〔異議などを〕却下する
board
理事会、取締役会、役員会
doldrums
憂鬱、不振、低迷
unmitigated
和らげられない、緩和されていない
increasingly
ますます、だんだんと
weary
〔重労働などで肉体的に〕疲れた、〔精神的に〕疲れた
set to
《be ~》~することになって[決まって]いる
went to his head
酔わせる、慢心させる
came into his own
本領を発揮する
bookend
~を〔ブックエンドのように両脇から〕はさむ
to his credit
~の名誉となって
reprieve
~の刑執行を延期[猶予]する◆特に死刑囚の

*1:記事末尾にあったので訳しました。えっと、一応まだ引退発表してないんですが(小声) しかし、こうして改めてバトンのキャリアを概観してみると、ほんと「数奇な運命」って感じがしますねー

*2: with Honda struggling to make their financial muscle count on track.

*3:Mixed fortunes

SKY F1:F1引退を表明するジェンソン・バトン

先ほどのDaily Mailの訳に続いて、今回はSKY F1でのJB引退するのか報道の訳です。

こちらはさすがにDaily Mailと比べると、もう少し読み応えのある記事になっていて、さすがですねー。…とか冷静に言ってる場合じゃなくてですね、もうバトンファンなのでこの事態に頭が正常に働いてないのか、なんかめっちゃ説得されてますよ、この記事に。もうヤバイ。

理屈もさることながら、一番ヤバイのがジェンソンのインタビューの引用ではないでしょうか。なんかもう、"すっごい英語がごちゃっとしてるんですよね。becauseが連発して、どこに係ってるのかわかりにくいし、同じ内容が繰り返し出てくる。しかもそこ以外のとこはちゃんとした文になってるのがなおさらアヤシいという。なんていうか、痛いところつかれとる!感を感じるというか、この人そういうの隠すの下手なのかなーとか思いたくなるというかw*1

ま、とかいろいろなんとかボヤいてますが、まだまだ真偽のほどは分かりませんので(そうですよね!?)、一ゴシップの、それも精度の悪い翻訳として、まあお暇つぶしにでもしていただければ、です。というかもうウソ&誤報MAXの飛ばし記事であってほしい…

F1引退を表明するジェンソン・バトン

フリート街*2は元ワールドチャンピオンが2015年末でこのスポーツを離れるだろうと考えている。

ジェンソン・バトンは、報道によると、今週末の日本GPでF1から引退を表明することになる。

タイムズ、デイリーメール、そしてデイリーテレブラフがそろって、バトンは自身のチームを去る決断をし、妻のジェシカの母国――すなわちこの英国人の第二の母国になった地を、その理想の場所と見ている、と伝えている。

2016年のシートと、マクラーレン・ホンダのパッケージ双方への疑いが入り混じって、彼のその決断が下されたと考えられている。

2014年の冬に自身がキープされるのかの決断を待ち続けた経験から、2009年のワールドチャンピオンは、若手ドライバーを支持するチームに冷たい扱いを受ける屈辱よりは、別離の道を選択した、ということなのだろう。

シンガポールGPを控え、自身の将来についてたずねられたバトンは、Sky Sports F1に次のように語っている。「難しいね。その質問をされると、いつも変な感じになるんだ。だって、僕はもうF1でずいぶん長い間レースをしてきたのだから。その質問にはエモーショナルになるよ。来年F1でレースするのが自分の決断だろうとチームの決断だろうと、本当に長い間それが自分の人生だったんだから、やっぱりエモーショナルになるさ。」*3

「僕はいつも、自分のキャリアを最高のところで終えたいと思ってたよ。でも、引退するときは、それが自分の決断であってほしいとも思う。だから、本当に難しいんだ。でも今のところ、今週はこれ以上は考えられないよ。仕事に集中してレースをしなきゃいけない。だから、その後の、鈴鹿の前に少し考えられるかな。チームにとっても、僕自身にとっても最高の決断になればいいんだけどね。」

シンガポールでのバトンのボディランゲージは、それがマリーナ・ベイでの最後のレースになることを知っていたことを示唆している。日曜のレース中に拾われたいくつかの無線でのメッセージもまた、短いジョークでいっぱいのPR合戦をもはや気にすることもなくなった男のそれのようだった、

テッド・クラヴィッツは、自身の「テッド・クラヴィッツの予選ノート」で、次のように言っている。「私は、彼の態度とその今週末の受け答えから、間違いなく彼が本当に引退に向かっていると確信してる、という立場だ。」

「なぜそういえるか、2つの理由がある。その理由はともにSky F1でのポール・ディレスタとの彼のインタビューにある。まず第一に、ジェンソンは『僕もこの自分のチームで引退したい。』と言い、そしてこのインタビューの終わりに、本当に終わらせることを選ぶのなら、それは自分決断だろう、と言ったんだ。」

「第二の理由は、彼が『エモーショナルなことだから、今週末は全然話せないよ』と言ったことだ。もし、彼がもう1年残留するのなら、どうしてそれを話すのがエモーショナルなことだというのだろう?私は、それがエモーショナルなのは、彼が去るという意向を固めたからだと思う。」

シンガポールGPの週末の間の話では、バトンは、将来についての決断は「あと2週間」のうちに決めるだろうと言っていた。

この35歳は、ウィリアムズで2000年にデビューし、マクラーレン加入前は、ベネトンルノー、BAR、ホンダそしてブラウンと渡り歩いた。世界タイトルを獲得した2009年の6勝を含め、15のレースで勝利している。

マクラーレンでバトンの後継を担う主要な候補は二人だ。ケビン・マグヌッセンと、ストッフェル・ヴァンドーンである。マグヌッセンは2014年にマクラーレンでドライブしていたが、フェルナンド・アロンソにシートを明け渡し、今年はリザーブドライバーとして過ごしている。このデンマーク人は、アロンソがプレシーズンテストのクラッシュでの治療の間、オーストラリアGPでその代理を任された。

ヴァンドーンは、もう一人のマクラーレンの若手ドライバーであり、今シーズンのGP2チャンピオンシップを圧勝している。彼は、4レースを残して、次のロシアでタイトルを獲得してしまうことも可能だ。

このベルギー人は、昨年のアブダビでのポストシーズンテストで初めて新ホンダエンジンをテストしたドライバーで、6月のインシーズンテストでもマクラーレンをドライブした。

*1:いや、英語そんなできないので、この感覚が正しいのかはまったくわかりませんけどねw

*2:英国の新聞界のこと、らしいです。

*3:"It's a tricky one. When you ask the question it is always funny because I've been racing for so many years in Formula 1 and you get emotional about the question because even if it is your decision or the team's decision to race in F1 next year you still get emotional because it has been your life for so long. 個人的に勝手に英語がごたっとしてるとか思ったのは一応ここです。インタビューの書き起こしなんだけども、なーんか文面からも、なんというか端的に言って、キョドってる笑?感を感じるのは自分だけですかねぇw しかもこの下のパラグラフの引用はきれいな英語になってるんですよねー。まあ実際の動画みてないので、現場ではどうだったのかはわかりませんが。

Daily Mail:マクラーレン残留交渉に失敗して16年間のF1キャリアから引退することになるジェンソン・バトン

バトンファンとかこそこそっと言っておきながら、ジェンソンに関する記事は特に訳していなかったのですが、ついにというか、来てしまったのですかね、この時が…。バトン、今期限りで引退説。各所から出てますね。ともかくも、こうなった以上、ゴシップといわれようが、真偽不明といわれようが、この流れには乗っからざるをえません。ジェンソン大好きなドライバーなので。最期かもしれないですしね、いろいろと。

ということで、まずは、Daily Mailの報道を訳しました。どうもこの記事を読むと、バトンの方から辞めることを決断したという流れになってるようですが、どうだか。

マクラーレン残留交渉に失敗して16年間のF1キャリアから引退することになるジェンソン・バトン

ジェンソン・バトンはF1でのチャンピオンを獲得したそのキャリアに幕を引くことになりそうだ。

この英国ドライバーは、早くも今週末の日本GPで引退を表明するかもしれない。彼の愛する国にあるお気に入りのトラックで、彼の妻の出身国も日本だ。

Sportsmailに語ってくれたある消息筋によると、彼は16年のキャリアに終止符を打つことを渋々決心したとのことである。彼は2009年にブラウンでチャンピオンの座を掴み取り、278戦で15勝をあげている。

日曜のシンガポールGPのレースに先立って、日マクラーレグループの総帥ロン・デニスと長時間の会談をした。しかしにもかかわらず、チームとの交渉は進展することはなかった。

そのすぐ後、デニスはSkyのマーティン・ブランドルとグリッド上で話をした。デニスは、35歳のバトンが残留することに保証を与えなかったのかもしれない★*1

こうなっては、バトンがF1を辞めるという決心を挫くには、ものすごく大きな心境の変化が必要だろう。たとえそれが19歳の無名の青年がウィリアムズをドライブすることになってから知った唯一の人生であるとしてもである。

今年のマクラーレンの嘆かわしいパフォーマンスのせいで、彼の心はいっそう容易に決まった。新しいエンジンパートナーのホンダによる、望みの乏しいエンジンの結果である。翌年があるにしても、いまだ光明は見えず、十分な改善の保証もないため、ほとんど魅了されるものはない。

バトンがどこに行くのかは直ちには明らかにならない。彼はWEC参戦に関してポルシェと話をした。だが、マクラーレンがまず契約解除する必要がある。

彼はウォーキングに拠点を置くチームと2年プラス1年の契約下にある。今はその二年目を終えようとするところであり、三年目のオプションは両サイドともに有している。しかしながら、もし彼がこの段階で離脱を決めるのなら、マクラーレンは他でレースするのを防ぐことができる。

もう一つの選択肢は、自前のラリークロスのチームを始めることである。父親のジョンは、昨年はじめに亡くなっており、彼の最大の支援者であったが、70年代において傑出したラリークロスドライバーだった。バトンは最近この競技について情熱的に語っていた。BBCとラリークロス特集も収録している。

F1後の人生のある部分はメディアでの仕事になるのかもしれない。彼はクリス・エヴァンスの新生トップギアでの仕事とも関係がある。ただ、TVでの仕事は、彼の人生の重心配分に占める一部分以上のものではないだろう、と考えられてはいる。

2015年版のサンデータイムズの長者番付によれば、7100万ポンド相当の財産を持つというバトンは、ウィリアムズ、ベネトンルノー、BAR、ホンダ、ブラウン、そしてマクラーレンでレースをした。彼はグリッド上でもっとも経験豊富なドライバーであり、また同僚のドライバーたちにも、その手ごわいがしかし実直でフェアなレーシングスタイルで支持を得ている。

マクラーレンは、バトンをキープすることを熱望していたが、今では、14年にこのチームでレースをしていたデンマーク人のケビン・マグヌッセンか、現在GP2でトップのベルギー人のストッフェル・ヴァンドーンのどちらかにシートを渡すことを考えているだろう。

*1:Dennis spoke to Sky’s Martin Brundle on the grid but could give no assurance that Button, 35, would stay on.

BBC:ホンダエンジンがマクラーレンにとって悪夢であるわけとその解決法

またもだいぶ間が空きましたが更新です。先日のイタリアGPはレース以外がアツかったですねえ。アロンソのストレートでめっちゃ遅れるんや!!発言があり、Daily Mailのマクラーレン新井氏の更迭求める!?報道があり、まったく盛りだくさんでしたw

さて、今回は、そのあたりに関して、本ブログおなじみの一人、アンドリュー・ベンソンさんがまた記事を書いていたのでその翻訳です。いやまあ、ベンソンさんの記事に付けられたネット民コメントまで拾って訳したんだから、ちゃんと記事として書いているものをスルーしてはいかんだろう、という義務感的ななにかからです。しかし、われながら、このブログの推しメンに、マルドさん、マーティンに引き続き、ベンソンさんも加わりそうな勢いですなこりゃははは

原文はこちら。なお、技術的なお話はさっぱりですので、訳文もその部分に関しては特に「なに言ってんだコイツ」的なおかしさになってるかもしれませんので、どうかご容赦ないしご指摘を。

ホンダエンジンがマクラーレンにとって悪夢であるわけとその解決法

マクラーレン・ホンダのドライバー、フェルナンド・アロンソジェンソン・バトンは、シンガポールをポイントを稼ぐための今シーズン最高のチャンスの一つだとこの数ヶ月間言い続けたきた。

この苦境に立たされているチームがベルギーとイタリアの2レースでひどい成績を出したせいで、モンツァの予選後の記者会見は嵐のような激しさを呈した。そこでは、ホンダのF1責任者である新井康久氏は、エンジンパフォーマンスの不足のために極めて厳しい尋問にさらされた。

バトンは、これまでも状況をよくわきえる人間*1だったが、この事態をもっと大きな視点の下に置こうとしていた。

「2週間後だったら、レースを戦って5位ないし6位を争えるだろうから、この種の論争にはたぶんならないはずだよ。」

それでは、アロンソとバトンは、いかにしてイタリアで15位、16位争いを演じることとなり、しかしまた、どうして翌週のシンガポールではポイント圏の中位というすばらしいポジションを望めるというのだろうか。

マクラーレンと、そして特にホンダの問題を観察して、それを説明をしてみよう。

ホンダパワーの悪夢

マクラーレンの最大の問題は、ホンダエンジンの競争力のなさによるものだということは公然の秘密だ。この日本企業にとっては、2008年以来、これが復帰して最初のシーズンである。

アロンソはイタリアGP週末のこの状況をそのままに語った。すなわち、GPSのスピートトレースの情報を明らかにしたのだ。これは、チームがライバルとの比較分析をするのに使うものである。

「改善する必要があるエリアはたくさんあるよ。」二回のワールドチャンピオンが語る。「でも、このサーキットでは6つのコーナーがあるんだけど、GPS上では、僕らはそのコーナーで10分の2、3秒失っているんだ。三秒ある差の内の残りは、ストレートで見つけなきゃいけない。」

なぜ高速サーキットのモンツァではこれがそれほどにひどいものであり、市街地コースのシンガポールでは影響がほとんどないことが予想されるのか。これを理解するには、2014年にF1に導入された、ターボハイブリッドエンジンルールに苦戦するホンダについて、詳細に説明する必要がある。

少し技術的なものになるだろうが、我慢して付き合ってほしい。その価値があるはずだ。

現行のF1エンジンは1.6リッターV6ターボである。これは、エネルギーの回生を行うハイブリッドのエレメントをもっており、それは2つに分離してはいるが、内部でリンクしている。共にそのままなら捨てられていたはずのエネルギーを活用している。

リアの車軸にリンクしている電気モーターは、MGU-Kで、これはブレーキング時に運動エネルギーを回収し、それを後で使うためにバッテリー内に蓄える。「K」によるバッテリーからのパワーは120kwに制限されている。

MGU-H(熱(heat)を表す)と呼ばれる第二の電気モーターは、ターボチャージャーからエネルギーを回収する。レギュレーションでは、ここからのエネルギー使用に関しては制限がないので、これはフリーなエネルギーと考えることができる。

ホンダの根本的な問題は、最も短い類のストレートを除いて、ストレート全距離にわたって使い続けるだけのエネルギーを得られていないことにある。

これはアロンソとバトンが、長いストレートでは、途中でハイブリッドパワーを使い果たしてしまうことを意味する。それは直接には少なくとも160馬力の損失である。それこそが、スパやモンツァで、彼らがまるでその場にそのまま立ち尽くしていたかのように、ライバルにオーバーテイクされていったことの理由である。

この問題はシンガポール(あるいは例えば、アロンソが5位フィニッシュを決めたハンガリー)ではずっと小さいものとなる。ストレートが短いからだ。だから、「クリッピングポイント」――そう呼ばれているのだ、には至らないかもしれない。あるいはそうなってしまっても、それはストレートの終わり際においてだけだろう。

なぜホンダはこれほどエネルギーが足りないのか?

ホンダはとてもコンパクトなエンジンを作った。空力的アドバテージのために、可能な限り全てを小さくしようというマクラーレンのデザイン哲学の一環である。

しかし、これが、エンジンデザインでの妥協につながった。

エンジンをできる限り小さくするために、ホンダはターボとMGU-Hを一つのユニットにして、それをコンプレッサーとともに収納した。コンプレッサーは、エンジンのシリンダーのV字の中で、空気をターボに送り込むものだ。

これは、先頭を走るメルセデスと似た哲学である。

違いは以下の点だ。すなわち、メルセデスはエンジンの前に大きなコンプレッサーがあり、異例の長さのシャフトによって、後ろにあるターボにジョイントされている。そこから、V字の中に配置されたMGU-Hはエネルギーを回収する。

メルセデスのデザインは、多くののアドバンテージがあり、それは昨年別の記事で詳述した。

ホンダはよりコンパクトなレイアウトである。コンプレッサーをシリンダー列に収めるためだ。メルセデスよりさらに小さくするために求められたことだった。だから、効率性で劣る。その最高回転もまた制限されたものとなる。

この配置のせいで、ホンダは、エンジンデザインを変えない限り、それを大きくすることができない。その実行のためには、F1の複雑な開発制限の元では、今年可能であるよりも、多くのトークンを必要だ。

ホンダのハイブリッドシステムがエンジンの唯一の問題なのか?

ハイブリッドシステムの欠点をだけでなく、メルセデスフェラーリなどの優れたユニットと比べると、ホンダの内燃機関(ICE)も劣っている。

それがどれほどのなのかについては、異論があるところだ。

メルセデスは相当のアドバンテージを持っており、ICEだけで、10~15馬力フェラーリに勝り、ルノーからは50~70馬力もの差をつけていると言われている

新井氏はホンダのICEはルノーよりも20~25馬力ほど上だと信じていると言っていた。ほかのエンジニアたちは、両者のICEはとても接近しており、ホンダはもしかしたら7月のアップデート前の時点ではわずかに優勢だったが、アップデート後には25馬力ほどの差をつけルノーが再度逆転した、と言っている★*2

メルセデスの出力は、ICEから生み出していると噂される700馬力、規制されているMGU-Kの160馬力、そしてMGU-Hからのフリーな電気エネルギーが30-40馬力もあることを考えると、トータルでは890-900馬力ほどあるのだ。

ルノーフェラーリのハイブリッドシステムに関しては、メルセデスと同等の競争力があると考えられており、それゆえルノーは約830-840馬力、フェラーリは880-890馬力程度であろう。

こうした情報の全てをホンダエンジンに当てはめてみると、マクラーレンの問題が浮き彫りになる。

ホンダエンジンは、ICE単独で60-80馬力程度劣っている。加えてMGU-Hのパワーに相当な不足があり、また全てのハイブリッドパワー(Kからの160馬力と、不明だがHが生み出すパワー分)がストレートの所定の距離を超えると失われてしまう。

ホンダは2016年にその問題を修正できるだろうか?

ホンダは今年残りで、内燃機関のパフォーマンスと、ハイブリッドシステムの効率性の向上を図る計画である。しかし、問題はこれほどに根本的なものなので、改善はどれも限られたものだろうし、大きな進歩が期待されるのは来年になってからだろう。

ホンダが来シーズンに向けて、エンジンを再デザインできるかどうかが大きな問題である。ターボ、コンプレッサー、MGU-Hのレイアウトを、要求される効率性を満たすものにしなければならない。

「そこが開発の目標だ。」新井氏は言う。「コンプレッサーが、今解決を試みている最大の課題であることは把握している。シルバーストン、スパ、モンツァでそれがどれだけ難しいものだったのか、そして必要な作業量がどれほどのものかもわかっている。」

「データを見ているので、ライバルがなにを開発していて、それがどの程度なのかもわかっている。だから、言うまでもなく最低限の目標はそこだ。」

マクラーレンに近いいくつかの消息筋は、問題に取り組む際のホンダの緊迫感に、そして自らがどれほど劣っているのかをきちんと把握しているのかという点に、疑念を抱いている。この疑念が正しいのかどうかは、来シーズンにならないとわからないだろう。

車体についてはどうか?

シンガポールでは、ホンダのデプロイメントの不足はターン5からターン7の間のコース最長のストレートの間でしか問題にならないだろうし、もしかしたら、そこでさえ問題にはならないのかもしれない。

しかし、もしマクラーレンモンツァの6つのコーナーで0.2-0.3秒失っているのならば、23のコーナーを擁するシンガポールでは、その差はコーナー数に比例して大きくなるであろうことは明白だ。

エンジニアたちは、マクラーレンをトラック上で4番目か5番目に優れたシャシーと見ている。すなわち、メルセデスレッドブルトロロッソの後ろで、フェラーリに勝つか負けるか、というところである。

しかし、これは、マクラーレンは車体に問題がないといっているのではない。

MP4-30は、上位の他の車体に比べて、ドラッグが多く、ダウンフォースは少ない。また、コーナーの出口のトラクションに苦しんでいる。

近年、マクラーレンは実際に使用可能なダウンフォース量よりも最大値を追求する方針を採って苦戦している。

これによる問題は、最大のダウンフォースレベルで測られる理論値においては、クルマは速いのだが、実際にはドライバーはトラック上でその全パフォーマンスを引き出すことができないということである。

なぜ引き出せないのか。その理由は、空力を追求して気流が大きく加工されると、それが他のなにものかに妨害されることに対して敏感になってしまうことにある。気流が妨げられると、突然グリップを失ってしまい、それがひいてはドライバーの自信をも損ねてしまう。

もっともうまくできた車は、「フレンドリーな」ダウンフォース、と呼ばれるものを追求したものとなる傾向がある。それは、理論的な最大値は低めなのだが、ドライバーが実際に活用できるダウンフォース量とその時間がより多くなっているものであり、それゆえに、車の空力学的土台は安定している。

この二番目の哲学は、レッドブルが成功していた時代のやり方で、メルセデスが今現在依拠しているものでもある。

マクラーレンは、今年初め、このアプローチも採用すると言っており、自身がなにを間違えていたのかも認識していた。

しかし、内部関係者は言う。シャシーが全体的なダウンフォースを欠いていることが明らかになって以来、チームは旧式の悪しきやり方に戻してしまい、現実的なパフォーマンスよりも理論値を追求するようになってしまった、と。

これは、なぜマクラーレンレッドブルメルセデスに比べてとても硬いサスペンションで走っているのかをほとんど説明している。もしエアロの土台がもともと不安定なものであるのなら、車のピッチを可能な限りコントロールしたくなるものなのだ。気流が「ストール」してしまい、ダウンフォースが失われてしまう状況を減らそうするためである。

メルセデスが先鞭をつけ、シーズン半ばのアップグレードでレッドブルがうまく追従した最新のフロントウイングの哲学に、マクラーレンがいまだキャッチアップしていないことも注目すべきことだ。

展望

今年の車のレイアウトは、マクラーレンのチーフエンジニアのピーター・プロドロモウが昨秋レッドブルから加入する前に、コンパクトなホンダエンジンのレイアウトを軸として考案されたものだ。

ホンダはより大きなコンプレッサーと改良されたターボ、MGU-Hをデザインしており、基本的には同じ構造が保持されたエンジンになるのだろう。パッケージをできる限りコンパクトにとどめる、というねらいである、★*3

プロドロモウは他方で、マクラーレンの車体デザインの欠陥の根絶に取り組んでいる。焦点は、フロントの空力と、車体周りに強い気流をつくり、リアのホイールとフロアにそれを流すことだ。後者もとてもパフォーマンスに重要なもので、レッドブルが伝統的に秀でていた部分である。

マクラーレンとホンダのトップはともに一つのチームであるという主張を公には堅持しているが、内部で緊張が生じているとの噂が出始めている。

マクラーレンが35年でワーストのシーズンを過ごしているこの状況では、これは驚くべきことではない。マクラーレンとホンダはあまりに深く泥沼にはまっているので、彼らは、時折そこでおぼれてしまうかのように見える。

しかし、たとえ2015年のリザルトでの改善は他の何よりもサーキットレイアウトによっているとしても、チームとエンジンマニュファクチャラーは、自らが期待する場所に自身を引き戻すために2016年に必要なアイデアを、すくなくともいくつか持っている、という感じはあるのだ。


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ア、アロンソのことだからメディア使ってプレッシャーかけてるだけ…だよね(震え声


☆個人的単語リスト
specific【名】仕様(書)、明細(書)、詳述
kinetic【形】運動(上)の、動的な
vee【名】〔アルファベットの〕v、V字形
shortfall【名】不足、不足分、
remainder【名】残り、残余、
objective【名】目的、目標、対象
proportionally【副】比例的に
revert【自動】〔元の習慣・状態などに〕立ち戻る
stall【1自動】行き詰まる、失速する
notable注目{ちゅうもく}に値する[すべき]
around~を中心{ちゅうしん}にして、~の周りに集まって
eradicateぜんめつ}させる
mire沼地{ぬまち}、泥沼{どろぬま}、ぬかるみ
haul【自動】引く、引っ張る

*1:ever the politicianの訳です。politicianってあんまりよくないニュアンスだった気がするのですが…。とりあえず若干強引にニュートラル?な感じで訳しました(ここでバトンを唐突に難癖つけ出すのはヘンかな、との判断で。ファンのひいき訳ではないはずw(たぶん)が、しかし…

*2:※訂正した訳文の方がおかしかったぽいので、最初の訳文に戻しました(2015/9/17)。一応、以前この記事を一度お読みで、かつまた読んでくださる方がいたら、その方のために。ま、そもそも、こっちは、ルノーが上だろう、って言ってる意見になってないと(なってない方に一度訂正してしまったのですよw)、じゃあどこにも異論ないじゃんwってなっちゃって、文脈上もおかしくなっちゃいますよね。一応原文も載せときます。…って別にそんなに難しい文章じゃないはずなんですが、なんか苦戦してますw(「7月のアップデート」ってなんだ?そんなのあったか?って思ってネットで調べても、なにも情報が出てこないのが悪いんじゃっ!)→ Honda was perhaps marginally ahead before an upgrade in July moved Renault back in front by about 25bhp.

*3:Honda is designing a larger compressor and revised turbo and MGU-H into an engine that will retain the same fundamental architecture, with the aim of keeping the package as compact as possible.